ステンレスねじの焼き付き(かじり)原因と『デフリックコート』の有効性
「締め付け中に突然ねじが動かなくなる」
「取り外そうとしたら固着してビクともしない」
現場で多くの作業者を悩ませるこの現象は「焼き付き」や「かじり」と呼ばれます。無理に回そうとしてねじが折れてしまえば、除去作業に膨大な時間がかかり、最悪の場合は製品そのものが廃棄になることもあります。
本記事では、焼き付きの発生メカニズムと、現場の負担を減らす解決策について解説します。

目次
焼き付きが起こるメカニズム
焼き付きの正体は、金属同士が熱によって溶けてくっついてしまう凝着という現象です。ねじを締め付ける際、おねじとめねじの接触面に摩擦が発生します。この摩擦熱によってねじが熱膨張し、隙間がなくなることで金属同士が強く密着し、最終的に一体化(溶着)してしまうのです。
特にステンレスが焼き付きやすい3つの理由
ステンレス鋼は、鉄と比較して以下の特性を持つため、焼き付きの条件が揃いやすい素材と言えます。
摩擦係数が大きい(滑りにくい)
ステンレスは鉄に比べて摩擦係数が約2倍と高く、締め付け時に大きな摩擦熱が発生します。
熱伝導率が低い(熱が逃げない)
熱伝導率は鉄の約1/3しかありません。発生した摩擦熱が周囲に逃げず、ねじ部に熱がこもり高温になりやすくなります。
熱膨張率が大きい(膨らみやすい)
熱膨張率は鉄の約1.5倍です。こもった熱によってねじ山が大きく膨張し、おねじとめねじの隙間を埋めてしまい、固着を招きます。
その他の発生要因
材質以外にも、以下のような作業環境が焼き付きを誘発します。
■高速締め付け
インパクトレンチなどの電動工具を使用すると、急激な摩擦熱が発生しやすくなります。
■異物の噛み込み
切粉や砂などが挟まると、局所的に高い圧力がかかり発熱します。
■斜め締め
ねじ山が均一に当たらず、偏荷重がかかることで発熱します。
従来の焼き付き対策とその課題
焼き付きを防ぐには、「摩擦係数を下げる(滑りを良くする)」ことが最も重要です。現場では一般的に以下の対策が取られていますが、それぞれ課題もあります。
手締めを行う
電動工具を使わず手でゆっくり締めることで発熱を抑えられますが、作業効率が著しく低下します。
グリス(焼き付き防止剤)を塗布する
摩擦を減らすのに有効ですが、塗布作業によるばらつきや、塗り忘れのリスクがあります。また、最大の問題は「油分」です。周囲への油汚れ、異物付着の原因になるだけでなく、電子部品や真空装置を扱う環境などのそもそも油・グリスが使用できない場所では採用できません。
「油を使わない」で焼き付き課題を解決するデフリックコート
「油・グリスを使えない環境でも、焼き付きを確実に防ぎたい」
そんな現場の課題を解決するのが、あらかじめねじ表面に潤滑被膜を形成する事前処理です。中でも、当社が提案する「デフリックコート」は、焼き付き防止に特化した強力な解決策の1つです。
デフリックコートとは?
デフリックコートの最大の特徴は、油を一切使用せずに『固体潤滑』によって滑り性を向上させる点です。二硫化モリブデンなどを配合した固体被膜潤滑剤を、ねじ表面に焼き付け処理する技術で、「乾いた被膜」が金属接触を防ぎます。
■低摩擦
摩擦係数を0.05〜0.09という極めて低い値に安定させ、ステンレス同士の接触でも焼き付きを強力に防ぎます。
■完全ドライな被膜(オイルフリー)
オイルやグリスを使わないため、ベタつかずホコリを吸着しません。油分を嫌う電子部品、真空装置、医療機器など、クリーンな環境でも安心して使用可能です。
■高い耐荷重性
ボルト締結のような高い面圧がかかる環境でも被膜が破れず、潤滑性を維持し続けます。
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