Zコートとは?水素脆化を防ぐ乾式衝撃亜鉛めっきの特徴とメリットを解説
高強度ボルトなどの熱処理部品において、表面処理による「水素脆化」は製品の品質を損なう大きなリスクになります。この課題を根本的に解決するめっき技術が「Zコート」です。
本記事では、Zコートがどのような表面処理なのか、その特徴とメリット、そしてZコートの性能をさらに高める「U&Zコート」について詳しく解説します。
目次
Zコートとは?
Zコートとは、NCZが提供するオリジナル表面処理技術で、亜鉛合金から成るブラスト材(Zアイアン)を専用の表面処理装置(Zコーター)を用いて製品に投射することにより、処理物表面に亜鉛合金被膜を形成させる乾式亜鉛合金めっき処理です。
Zコートの処理プロセスは、処理対象の部品に、亜鉛合金からなるブラスト材(Zアイアイン)を専用の表面処理装置(Zコーター)を使用して高速で投射します。
この時に生まれる機械的・物理的なエネルギーを利用して、亜鉛の粒子を部品の表面に強力に圧着させていくのが、Zコートの原理です。
※当社では、DZ300とDZ100の2種類のZコーターを製品によって使い分けて処理しています。
Zコートの特徴
Zコートは、その独自のプロセスにより、他のめっき方法にはない優れた特徴を持っています。
水素脆化が起きない
Zコートの最大の特徴としては、水素脆化の発生リスクがないことです。
「水素脆化」とは、素材内部に水素が侵入し脆くなってしまう現象で、遅れ破壊の原因になります。特に高強度ボルトなど、高い信頼性が求められる部品では致命的な欠陥につながります。この水素は、電気めっきの前処理である酸洗い工程や、めっき処理中の水溶液の電気分解によって発生します。
Zコートは、これらの工程を一切含まない乾式のプロセスであるため、水素が発生しません。これにより、熱処理が施された高強度部品にも安心して適用できます。
均一な膜厚と複雑形状への対応
一般的な電気めっきでは、電流の集中しやすいエッジ部などが厚くなり、凹部が薄くなるなど、膜厚にムラが生じがちです。Zコートは「衝撃めっき」とも呼ばれるように物理的な作用で被膜を形成するため、膜厚の均一性が高いという特徴があります。
Zコートは、ねじの山や谷、凹凸部にも均一に亜鉛粒子が付着します。これにより、めっきの膜厚にムラが生じることで起こる「ネジがうまく締まらない」といったトラブルを防ぐことができます。
当社のZコートを用いた事例一覧はこちらから
「U&Zコート®」処理で機能性の付与が可能!
Zコートで形成した亜鉛めっき被膜の上に、高機能なトップコートを施すことにより、さらに付加価値を高めることが可能です。
特にオススメなのが「U&Zコート(ユニメットコート)」です。乾式衝撃亜鉛めっきであるZコートに、水系かつ非クロメート系トップコート処理の「ユニメット®」を組み合わせる「U&Zコート」処理によって以下のような機能性の付与ができます。
高耐食性
U&Zコートは水素脆性もなく、高い耐食性を持ちます。塩水噴霧試験では1000時間以上赤錆の発生がありません。ユニメットに含まれるケイ酸塩がZコートで形成された亜鉛合金被膜に浸み込むことにより、防食効果をさらに高めるためです。
環境配慮(クロムフリー)
ユニメット®は六価クロム・三価クロムを一切含まない、環境に優しいトップコートです。RoHS指令などの環境規制に適合しており、安心してご使用いただけます。
トルク安定化・低摩擦
ねじの締め付けトルクを安定させる効果があり、締結時の摩擦係数を低く抑えることができます。これにより、組立作業の効率化と品質の安定に貢献します。
Zコートの「水素脆化が起きない」というメリットに、ユニメット処理の「高耐食性」を組み合わせることで、信頼性の高い表面処理ができます。
また、当社がU&Zコート処理を実際に用いた事例も多数ございます。下記リンクからぜひご覧ください。
焼結部品へ乾式めっきUZコートで防錆対策した事例
鉄材ネジへのU&Zコートで耐食性を向上した事例
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当サイトを運営する株式会社キョークロは、昭和33年の創業以来、表面処理一筋で取り組んできました。
60年以上の経験と実績にもとづき、多数の国内トップメーカーから「ネジのめっき・コーティングなら、やっぱりキョークロ」と、多大なる信頼を頂いております。
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