Kコート処理とは?特徴や代替トップコートについてを徹底解説
表面処理の中でも最外層に位置するトップコートは、主に美観性、耐食性、摩擦係数の調整など、様々な機能性を付加することができます。今回取り上げる「Kコート」はトップコートの一種であり、その優れた防錆力や美しい外観から、多くの金属部品に採用されています。
本記事では、Kコートの基礎知識や特徴、現場で聞かれるお困りごととその背景にあるKコートの特性、その解決策となる代替トップコートまでを詳しく解説します。
目次
Kコート処理の特徴
Kコート(アロンマイティ K-111A)は、東亞合成が開発したセラミック変性防錆コーティング剤です。
金属材料の表面に数ミクロンの強靭な被膜を形成することで、非常に優れた防錆力を低コストで付与することができます。また、Kコートは無色透明であるため、素材本来の外観色調や光沢をそのまま保持し、その色調を変えることがありません。
複合処理「ステンコート」によるステンレス調外観

Kコートは単体でも無色透明な塗膜のため、金属本来の光沢や色調を保持するとともに、干渉色を有する三価クロメートについては色調ムラを抑え高い美観性を付与します。
特にジンロイめっきと組み合わせた複合処理は「ステンコート」と呼ばれ、その名の通りステンレス材のような美しい外観を実現します。
ステンレス材と比較して軽量かつ加工しやすい鉄素材の部品にステンコートを施すことで、デザイン性と機能性を両立したい製品に最適な表面処理として多くの分野で採用されています。
ジンロイ+Kコート処理を施すことにより、ステンレス調の美しい外観を付与すると同時に耐食性、耐候性等を向上させた当社の事例は、下記リンクからご覧ください。
ステレンスドリルネジへのジンロイ+Kコート処理(ステンコート処理)
Kコート処理を活用した当社の事例
ボルトへのハイニッケル亜鉛合金めっき(黒色処理)+Kコート処理

ハイニッケル亜鉛合金めっき(黒色処理)にKコート処理を施すことで、深みのある黒色外観に高級感のある光沢を付与し、高機能で美しいボルトに仕上げた事例です。
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封孔処理された鉄系焼結部品への亜鉛めっき+Kコート処理

耐食性低下と外観不良が懸念される焼結部品に対し、亜鉛めっき+Kコート処理を組み合わせることで空孔を効果的に封孔できました。その結果、耐食性が向上し、色調ムラや経時変色といった外観不良も解決し、安定した品質に仕上げた事例です。
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Kコート処理の粘着性とそのデメリット:製品同士の「くっつき」
多くのメリットがあるKコートですが、お客様からは特定のお困りごとについてご相談を頂くことがあります。その代表的なものが、製品同士の「くっつき」(粘着性)です。
特にねじやボルト、座金といった小さな締結部品を大量に処理する場合、コーティング剤の特性上、製品同士が固着してしまうことがあります。
この「くっつき」は、自動組立ラインの停止を招く生産性の低下をはじめ、無理に剥がそうとするとコーティングが剥がれてしまう外観不良、さらには手作業での分離や選別が必要になることによる作業工数の増加といった問題を引き起こす可能性があります。
これはKコートの特徴の一つである「粘着性」によるものであり、この特性が生産現場において上記のデメリットを引き起こす場合があるため、注意が必要です。
Kコートのデメリットを解決する代替トップコート
Kコート処理による「くっつき」でお悩みの場合、あるいは耐食性や外観、その他の機能でより高いレベルを求める場合には、別のトップコートを選択することが有効な解決策となります。
【くっつき防止】なら「トップガード」
トップガードは、奥野製薬工業株式会社が提供する水溶性クリヤーラッカーで、特殊なアクリルモノマーを重合して得られた自己架橋性を持つ水溶性ポリマーを主成分としています。
トップガードがくっつきにくい要因は、主成分であるこの「自己架橋性を持つ水溶性ポリマー」にあります。「自己架橋」とは、塗布された後、ポリマー(高分子)同士が化学反応で強固に結びつき、緻密で安定した三次元の網目構造を作ることです 。このプロセスによって形成される硬質でなめらかな塗膜は、接触しても互いにくっつき合うことなく滑りやすいため、「くっつきにくさ」が実現されます。
トップガードの「ネジ頭とワッシャーがくっつかない」といった機能性は、特に組立時の作業性向上に大きく貢献します 。
【高耐食性】なら「ZECコート」
Kコート以上の、さらに高いレベルの耐食性が求められる場合にはZECコート(ZEC-888)が適しています。
従来品(三価クロメート)と比較して塩水噴霧試験で3倍以上の耐食性を示した結果もあり、万が一被膜に傷がついても自己修復する機能を持つため、非常に高い防錆性能を発揮します。
【美しい黒色外観】なら「JKCコート」
製品に耐食性だけでなく、美しい黒色外観を求める場合にはJKCコートが最適です。
透明なクリヤータイプもありますが、特にブラックタイプは深みのある美しい黒色を実現し、自動車部品などで求められる外観要求に応えます。
【特殊機能の付与】なら
■トルク調整機能「MTT20」
ねじの締め付けトルクを安定させたい場合に適したトップコートです。
■絶縁性付与「メタスYC-TKC」
電気的な絶縁性能が求められる部品に対して、高い絶縁性を付与することができます。
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今回ご紹介したトップコートは、数あるラインナップの中の一部です。ネジ・めっきコーティング.comでは、この記事では紹介しきれなかった様々な機能を持つトップコートを取り扱っております。
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【資料ダウンロード】トップコート一覧と機能
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当サイトを運営する株式会社キョークロは、昭和33年の創業以来、表面処理一筋で取り組んできました。
60年以上の経験と実績にもとづき、多数の国内トップメーカーから「ネジのめっき・コーティングなら、やっぱりキョークロ」と、多大なる信頼を頂いております。
Kコートは優れた表面処理の一つですが、決して万能ではありません。製品に求められる性能や、生産工程における課題を考慮し、最適なトップコートを選定することが重要です。
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