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黒色三価クロメートとは?特性や黒色系メッキとの違いをご紹介!

黒色三価クロメートとは?

三価クロメート処理(亜鉛めっき)は、耐食性・美観性向上において最もスタンダードな表面処理です。従来の六価クロムを用いたクロメート処理に代わる、環境負荷低減を目的とした技術として広く普及しており、三価クロム化成処理とも呼ばれています。

この三価クロメート処理の一種である黒色三価クロメート処理は、処理後の金属表面に黒色の外観を付与する技術です。単に耐食性を向上させるだけでなく、意匠性の向上も同時に実現できるため、多岐にわたる分野で応用されています。

 

黒色三価クロメート処理の特徴・特性

黒色三価クロメートには以下のような特徴があります。

①意匠性の向上(黒色要求への対応)

黒色の外観は、製品に高級感や落ち着いた印象を与えるだけでなく、光の反射を抑制する効果もあります。黒色三価クロメート処理は、均一な色調と滑らかな質感を実現しやすく、製品の美観を大きく向上させます。

②優れた耐食性

黒色三価クロメート処理によって形成される皮膜は、金属表面を外部環境から遮断し、優れた耐食性を付与します。適切な処理条件を選択することで、厳しい腐食環境下でも長期にわたって金属を保護することが可能です。

③環境規制に対応

黒色三価クロメート処理は、六価クロムを使用していないため、RoHS指令をはじめとする環境規制に対応が可能です。

 

黒色系メッキと黒色三価クロメート処理の違い

金属表面を黒色に仕上げる処理として、黒色メッキと黒色三価クロメート処理は代表的な方法です。これらの処理は、それぞれ異なる原理と特性を持ち、用途に応じて使い分けられます。

まず、処理方法において大きな違いがあります。黒色メッキは、電気亜鉛メッキを行った後に、黒色クロメート処理を施すという工程を経ます。電気の力を利用して金属を析出させる方法であり、比較的厚い皮膜を形成しやすいのが特徴です。

一方、黒色三価クロメート処理は、電気を使用しない化学的な変化を利用して処理を行います。金属表面に化成皮膜を形成する方法であり、処理後に防錆油を塗布することで仕上げます。

耐食性については、一般的に黒色三価クロメート処理の方が優れているとされています。また、皮膜の厚さも違いとして挙げられます。電気亜鉛メッキ後の黒色クロメート処理では、皮膜の厚さが8μm以上となるのに対し、黒染め処理では約1~2μmと薄い皮膜になります。皮膜の厚さは、耐摩耗性や耐久性などの特性に影響を与えます。

更に、処理温度にも違いがあります。黒色クロメート処理は、比較的低い温度、つまり常温で処理が行われます。これに対して、黒色染め処理は約140℃という高温での処理が必要です。

このように、黒色メッキと黒色三価クロメート処理は、処理方法、耐食性、皮膜厚、処理温度など、さまざまな点で異なる特性を持っています。そのため、製品に求められる機能や性能、コストなどを総合的に考慮して、最適な処理方法を選択することが重要です。

 

黒色三価クロメート処理とRoHS指令

RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances Directive)は、電気・電子機器における特定有害物質の使用を制限するEUの指令であり、環境保護を目的としています。この指令では、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)などの特定有害物質の使用が制限されています。

従来のクロメート処理では、六価クロムが使用されていましたが、六価クロムはRoHS指令によって使用が制限されているため、代替技術として三価クロメート処理が開発されました。黒色三価クロメート処理は、六価クロムを使用していないため、RoHS指令に適合し、環境負荷低減に貢献します。

環境規制への対応は、企業にとって重要な課題となっています。黒色三価クロメート処理は、環境適合性と優れた性能を両立する表面処理技術として、注目されています。

下記記事でRoHS対応について詳しく解説しておりますので、こちらも合わせてご確認ください!

>>「ネジにRoHS対応が必要な理由とは?」

 

黒色三価クロメートに黒色コーティングを行い、漆黒を再現可能!

当サイトを運営する株式会社キョークロは、黒色三価クロメートの上に、黒色コーティングを行うことで、漆黒の外観要求を満たすことも可能です。

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酸性浴処理により焼結合金を含む難素材にも対応!

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当社の黒色三価クロメート処理を行った事例

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こちらはSUS410材への表面処理の仕様相談です。

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