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ジオメット処理とは?他の防錆処理との違いを徹底解説!

ジオメット処理とは?その特長と用途

ジオメット処理は、「亜鉛フレーク」と「アルミフレーク」を混合した処理液に金属素材を浸漬し、焼き付けによって強固な塗膜を形成する防錆処理技術です。従来、六価クロムを含む防錆処理であるダクロタイズド処理が一般的でしたが、ジオメット処理はこの技術を応用し、クロムフリーを実現した代替技術として広く普及しています。通常、膜厚は約8μmと非常に薄いため、ボルトやナットの嵌合にも優れ、自動車部品など耐熱性・耐食性が求められる場面で多く採用されています。

ジオメット処理被膜は、金属フレークが層状に重なり、ケイ素等の特殊無機バインダーにより被膜形成されています。仕上がりの外観は銀白色で、アルミフレークの使用により美しいメタリックな見た目が特徴です。

ジオメット処理は、英語で「GEOMET」として表記され、NOFメタルコーティングス社(旧日本ダクロシャムロック社)の登録商標として認識されています。また、ジオメット処理の仕様には「GEOMET 720」などの記号や型番があります。

環境対応型の水系処理と高い耐食性

ジオメット処理は、環境に配慮した水系処理で、RoHS指令やREACH規制にも適合しています。完全クロムフリーであるため公害リスクが少なく、近年では環境対応型の防錆技術として注目されています。また、電気亜鉛メッキや溶融亜鉛メッキと比べても耐食性に優れ、1000時間以上の赤錆耐性を発揮するなど、過酷な条件下でも高い耐久性を維持できる点が大きな特長です。

薄膜構造がもたらす幅広い用途

ジオメット処理は、その薄膜構造によりボルトとナットの嵌合を損なうことなく高い防錆性能を実現しており、340℃までの耐熱性能も備えています。自動車のエンジン周辺部品やサスペンションパーツ、また屋外で使用される構造物や設備など、耐食性が求められるあらゆる用途に対応しています。

さらに、金属フレークが層状に重なった構造と無機バインダーの使用により、粉体塗装などの上塗りも可能で、外観性や防錆性を強化したい場合にも適しています。

 

ジオメット処理のメリッ

ジオメット処理は、環境対応型の防錆技術として高い評価を受けている処理方法で、耐食性・耐熱性に優れたクロムフリーの特長を持ちます。そのため、自動車部品や建築金物などの防錆加工として幅広く採用されています。ここでは、ジオメット処理の具体的なメリットについて、さらに詳しく解説します。

メリット1:クロムフリーで環境にやさしい

ジオメット処理は六価クロムなどの有害物質を一切含まず、RoHS指令やREACH規制に適合した環境対応型技術です。クロム化合物や鉛、ヒ素、カドミウム、水銀を含まない処理液を用いるため、作業環境や自然環境に配慮した選択が可能です。また、環境規制が厳しくなる中で、安全性と持続可能性に優れた選択肢として企業から支持されています。

メリット2:高い防錆性と耐熱性

ジオメット処理は、塩水噴霧試験で1000時間以上の赤錆耐性を示し、電気亜鉛メッキと比較しても耐食性に優れています。また、340℃までの耐熱性があり、亜鉛メッキでは難しい高温環境でも長期的な防錆効果が期待できます。

メリット3:水素脆性がない

ジオメット処理は焼き付け工程によるコーティングであり、水素脆性のリスクがありません。これは、ネジやボルトといった締結部品にとって重要な特長です。従来の電気亜鉛メッキでは水素脆性が発生する可能性がありましたが、ジオメット処理ではその心配がなく、耐久性と防錆性を両立した処理が可能です。

メリット4:アルミとのガルバニック腐食防止効果

ジオメット処理の皮膜は、アルミニウムに対して腐食電位が近い特性を持っており、異種金属接触によるガルバニック腐食が抑えられます。これにより、アルミ部品と接触しても腐食が起きにくく、自動車や航空部品においても保護効果が発揮されます。

メリット5:複雑な形状の部品にも適用可能

ジオメット処理は、ネジ山のような入り組んだ部品や複雑な形状でも均一に処理できるため、全体的な防錆性を確保できます。また、膜厚が8μmと薄膜構造であるため、ボルトやネジ山の隙間も埋まらずに塗布が可能で、特に嵌合が重要な部品に適した表面処理です。膜厚は、1コート(ディッピング)・1ベーク(焼き付け)から、2コート・2ベークなど複数回のコーティングを選択でき、目的に応じた防錆処理が施せます。

  

当社のジオメット処理を行った事例

■ SUS304材ネジへの電蝕対策

高耐食めっき鋼板(溶融亜鉛・アルミ・マグネシウム合金)に組付けるSUS304材ボルトとの電食対策です。

当初、無処理(無垢のまま)のSUS304材ボルトを組付け使用されていましたが、「めっき鋼板に、早期の錆が発生した」との相談がありました。特に、めっき鋼板とボルトとの接触部からの腐食が激しく対策を求められました。

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当サイトを運営する株式会社キョークロは、昭和33年の創業以来、表面処理一筋で取り組んできました。

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