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ネジに三価クロメート処理が採用されている理由とは?

三価クロメート処理は、従来の六価クロムに代わる環境対応型の表面処理技術です。人体や環境に無害であり、耐食性や耐久性に優れているため、自動車や建築、電子機器の分野で広く採用されています。ここでは、クロムめっき技術の変遷や三価クロメートの種類、当社だからこそ対応可能な三価クロメートネジや実際の製品事例まで、まとめてご紹介いたします。

 

三価クロメート処理とは?

三価クロメート処理は、金属の表面処理の一種で、主に亜鉛めっき後に施されます。耐食性を向上させるために、三価クロムを含む溶液に金属を浸漬し、表面に薄い皮膜を形成します。この処理は、従来の六価クロメート処理とは異なり、有害な六価クロムを含まないため、環境負荷が低いという特徴があります。

三価クロメート処理は、透明、青白色、黄色、黒色など、様々な色調を付けることができます。また、複雑な形状の製品にも均一に皮膜を形成できるため、自動車部品、建築資材、電気部品など、幅広い分野で利用されています。

三価クロメートの処理は、適切な温度管理とpH調整が重要です。処理温度は30~60℃、浸漬時間は30~90秒程度で行われ、pHの範囲が狭いため工程管理が求められます。また、クロメート後の乾燥は80~100℃で行われ、これによって被膜の品質と耐久性が確保されます。

RoHS指令やELV指令などの環境規制にも対応しており、環境に配慮した表面処理として注目されています。

 

三価クロメート処理とクロムめっきの違いとは?

三価クロメート処理と似た処理として、クロムメッキが挙げられます。クロムめっきは、1920年にアメリカで発明された技術です。クロムめっきは、金属表面にクロムの薄膜を形成し、耐食性や耐摩耗性、装飾性を向上させます。三価クロメートとクロムメッキは、どちらも金属の表面処理でクロムを利用しますが、実際には全く異なる技術です。

三価クロメートは主に亜鉛めっきなどの上に施される化成処理で、金属を三価クロムを含む溶液に浸すことで表面に薄い皮膜を作り、耐食性を高めます。一方、クロムメッキは、金属表面にクロムを電気的に析出させるめっき処理で、耐食性向上に加え、装飾性や耐摩耗性向上などを目的として行われます。

三価クロメートは化学反応を利用して金属表面に薄い皮膜を形成するのに対し、クロムメッキは電気分解を利用してクロムを析出させ、より厚い皮膜を形成します。そのため、クロムメッキは装飾性や耐摩耗性の向上にも効果的です。

また、どちらも環境への影響が少ない三価クロムを利用するのが主流ですが、クロムメッキでは従来の六価クロムもまだ使われています。

このように、三価クロメートとクロムメッキは、目的や方法、皮膜の厚さなどが異なります。それぞれの特性を理解して、用途に応じて使い分けることが重要です。

 

三価クロメート処理が求められる時代背景

近年、環境規制の強化が世界的に進んでおり、六価クロムの使用が厳しく制限されています。六価クロムは優れた防錆性能を持つものの、人体への有害性や発がん性が指摘されており、欧州のRoHS規制やREACH規制によりその使用が制限されました。そのため、六価クロムの代替技術として三価クロメート処理が求められています。

ちなみに、六価クロム自体には有毒性がありますが、六価クロムを用いたクロムメッキ製品に関しては、処理後の製品に毒性は一切ありません。

>>ねじにRoHS対応が必要な理由とは?

三価クロメート処理は、六価クロムに比べて人体への影響が少なく、処理後の廃水処理も容易なため、環境負荷の軽減につながっています。

また六価クロムに代わる環境対応型の技術として、三価クロメートの耐食性は六価クロメートに匹敵するレベルまで向上しており、三価クロメート処理は自動車産業や建設業界、電子機器分野で広く採用されており、今後も使用範囲が広がることが予想されます。特に、自動車部品の製造においては耐食性が求められるため、従来の六価クロメート処理に匹敵する性能を持つ三価クロメート処理が主流となりつつあります。

 

三価クロメート処理の種類

三価クロメート処理には、主に「三価ホワイト」と「三価ブラック」の2つの種類があります。

三価ホワイト

三価ホワイトは光沢のあるシルバー色が特徴で、従来の有色クロメートと同等の耐食性を持ちます。三価ホワイトには六価クロメート処理では発揮される自己修復性はありませんが、防錆効果が高く、ユニクロやクロメートの代替として使用されています。見た目はユニクロに近く、安価で耐食性が向上することから、三価ホワイトは最もポピュラーなメッキ処理として知られています。

三価ホワイト
三価ホワイト

三価ブラック

三価ブラックは黒色の外観を持ち、意匠性が求められる用途に適しています。下地に電気亜鉛めっきを施した後、硝酸銀などを含んだ溶液で処理し、独自の黒色を作り出しています。従来の六価クロメートに比べて環境対応型であり、耐食性も高く、RoHS規制にも対応しているため、従来の黒色クロメートの代替として使用されています。

三価ブラック
三価ブラック

三価クロメート処理と三価ユニクロ処理の違い

三価クロメートと三価ユニクロは、どちらも六価クロムに代わる環境対応型の表面処理技術です。しかし、両者の違いは耐食性と用途に現れます。三価クロメートは、非常に高い耐食性を持ち、錆の種類によっては三価ユニクロと比較しておよそ10倍もの耐久性を持つため、過酷な環境下で使用されるネジやボルトに適しています。

一方で、三価ユニクロは安価で簡素な処理が可能です。そのため三価ユニクロは、コストを重視する場面で選ばれることが多くなります。

この違いから、三価クロメートは耐久性や防錆性能が重要視される用途で、三価ユニクロはコストを抑えたい用途で選ばれることが一般的です。さらに、意匠性も大きく異なり、三価クロメートは光沢のある外観を提供できるため、見た目も重要な製品に向いています。

当社だからこそ対応可能な三価クロメートネジ

当社が生産する三価クロメートネジは、優れた耐食性、環境対応力、高い耐久性を誇ります。特に、当社独自の技術によって処理される三価クロメートメッキは、RoHS規制に対応しつつ、厳しい環境条件でも高い防錆性能を発揮します。さらに、当社では三価ホワイト、三価ブラックなど、多彩な色調の選択肢があり、意匠性も高いのが特徴です。これにより、自動車部品や建設現場など、幅広い分野で高い評価を受けています。

加えて、当社は工程管理において厳格な基準を設けており、処理の均一性や品質管理に優れた結果を提供しています。特に、耐食性に優れた三価クロメートネジは、長期間の使用にも対応可能であり、顧客のニーズに合わせたカスタマイズ対応も柔軟に行っています。

当社の技術は、他社に比べて高い信頼性を持ち、特に環境規制に対する強力な対応力と優れた防錆性能を兼ね備えています。これにより、環境負荷の軽減と長期的な耐久性を両立させた製品を提供し、信頼性の高い選択肢としてご支持いただいています。

 

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当サイトを運営する株式会社キョークロは、昭和33年の創業以来、表面処理一筋で取り組んできました。

60年以上の経験と実績にもとづき、多数の国内トップメーカーから「ネジのめっき・コーティングなら、やっぱりキョークロ」と、多大なる信頼を頂いております。

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